「投稿者: 鴨衣斎」の記事一覧

交渉の虚実
『宋名臣言行録』の話題を続けたい。今日は寇準について語ろう。 中華帝国の統治は中原と辺塞との両面がある。後者は外敵を防ぐために不可欠であるのはもちろん、中原の安寧にとっても決定的だ。なぜなら、兵馬を養う、というように、優秀な兵士と馬は辺塞でしか得られないからだ。 その意味で、北宋…
はじめに
中学生の時分、私は年寄りじみているというか、渋いというか、漢籍に親しむという趣味があった。駿台予備校の夏季講習に向かうための小一時間の地下鉄で、そうした本を読みふけっていた。降りて、新御茶ノ水駅の長いエレベータを上がりながら、頭のなかは屹立した君子たちの振舞いでいっぱいだった。 …
授業レポート(2024年度)
(表紙の画像はAIによって作成された) ファイル名「天皇皇后両陛下中国御訪問(1992年)」(分類番号:2023-0628, https://www.mofa.go.jp/mofaj/annai/honsho/shiryo/shozo/pdfs/2023/2023-0628.pdf)の54-74枚目にもとづき、天皇皇后両陛下の北京滞在(1992年10月23-25日)の要約を1600字程度(1400-1800字、…
湾岸戦争に国際貢献するぞ!、と
(表紙の画像はAIによって作成された) 地雷は土に埋まっている爆弾。機雷は海に沈んでいる爆弾。 地雷を除くことは地雷除去。機雷を除くことは掃海。掃海のために使う船が掃海艇。 日本史で掃海が注目されたことは何度かあります。授業の最終回は1991年の湾岸戦争が舞台です。 教科書での関連する記述 …
六四天安門事件と日本政府
上の気の弱そうな高校生が私です。竜のキャラクターに1988と書いてありますね。写真は祖母がとったのだと思います。天壇公園のあたりでは牛が歩いていました。目まぐるしく北京は変わりました。 1988年木下郁夫撮影 天安門から見える風景はというと、ネットで検索すると当時も今も変わりません。すご…
国連軍縮特別総会最終文書のコンセンサス
(表紙の画像はAIによって作成された) 世界が合意する、というのは口で言うのは簡単ですが現実では難しいです。にもかかわらず、それに近いことができたことがありました。1978年の国連軍縮特別総会における最終文書がそれです。 最終文書の日本語訳は下のとおりです。ただし、国立国会図書館の登録利…
日系カナダ人はWWIIにほとんど従軍できなかった
(表紙の画像はAIによって作成された) 日系人にアメリカ合衆国政府は謝罪と賠償をした、といいます。実はカナダも自国日系人に謝罪と賠償をしました。 日本人ではこうした報道は他人事のように扱われます。たしかに、日系人はすでに他国の市民だったわけですから、日本政府にとっては保護義務の対象外…
満洲事変は居留民保護の仕組みで拡大
(表紙の画像はAIによって作成された) 外国で身の危険を感じたら、最後は出国しなければならないでしょう。 しかし、かつては違いました。居残るのです。自国民保護は世界で認められた権利でした。 紛争のニュースを見ると、満洲事変の様子を私は思い浮かべます。満洲開拓は世界でよくある入植の一つで…
ロンドン海軍会議と統帥権干犯問題
(表紙の画像はAIによって作成された) 軍艦を増やしたい海軍、軍事費を抑えようとする大蔵省出身者、ナショナリズムを導いて個人的プライドを満たそうとする右翼と政治家…… 今から見ると、1930年のロンドン軍縮会議は歴史の分かれ目でした。浜口総理暗殺、満洲事変、金輸出再禁止、そして五・一五事件…
関東大震災と外交
(表紙の画像はAIによって作成された) 災害は忘れたころにやってくる、といいます。永久に忘れたくてもそうはさせてくれません。せっかくの経験ですから、それを次に活かすことを考えましょう。 教科書での関連する記述 教科書 地震と火災によって東京市・横浜市の大部分が廃墟と化したほか、死者・行…