日本の安全保障政策にたずさわる首相官邸幹部が、核兵器を日本は保有するべきだ、と記者団に語った。上司にあたる大臣たちを差し置いて個人の考えを述べるというのはどうかしていると思う。
それは今日のブログの本題ではない。そこから派生した枝葉の話について感想を述べたい。
朝日新聞の記者はアメリカ合衆国の国務省報道官にコメントを求めた。
朝日新聞
日本は「核不拡散のリーダー」 米国務省、官邸幹部発言でコメント
不拡散のリーダー、ということは、核兵器を持つことは日本に期待しないということだ。建前と別に本音があるかもしれない。私は裏情報を持っているわけでなく、コメントが誠実かどうか評価できない。
しかし、感想はある。
60年まえ、中国が原爆実験をしたことにより、合衆国のジョンソン政権は核拡散の懸念を深くした。そこで委員会を設けて、核拡散防止の措置を探らせた。その成果が1965年のギルパトリック報告書だ。日本については次の一項がある。
Gilpatric Report
We should support Japan’s desire for a more important role as a world leader.
“As Explosive as a Nuclear Weapon”: The Gilpatric Report on Nuclear Proliferation, January 1965
Source: Freedom of Information Act request to State Department
世界のリーダーとしての役割を与えて、核保有という無責任な行動を思いとどまらせようとしたのだ。今から振り返れば、G7と核軍縮がその役割だったことになる。今回のコメントで、60年経っても公式見解は変わっていないと確認できた。
ヒロシマ・ナガサキの直後、アメリカ合衆国は核廃絶のために原子力の国際管理を言いだした。それが失敗して、核兵器の不拡散に力をいれることになった。廃絶と不拡散の違いは、五大国の核保有は手放さないということだ。
核の傘を強調して日本の不安感にこたえることもギルパトリック報告書に書かれた。大きな歴史の流れは下の拙著に詳しい。
日本は原子力のアメリカン・コントロールの有力なパートナーだったのだが、これからは……