国際政治学の授業でDVD『オリバー・ストーンが語るもう一つのアメリカ史』を使った。ストーンは批判的な人で、原爆投下不要論に立つから、投下必要論からの批判はあるだろう。史的事実の真偽という観点からは私はこのDVDを使うことに問題はないと考えた。要不要の論争にたいしては、本土上陸に伴う米軍の損害は過小評価してはならない一方で、原爆の日本国民への士気低下効果も加味しなければならない。私は、降伏条件は緩和できただろう、という意味で留保付きの不要論者だ。

DVDでは投下反対を説くレオ・シラードを排除して、トルーマン大統領とバーンズ国務長官が強硬に投下を推進した、と描かれる。彼らの賛同者がそんなに少なかったか、には正直、私は確信はない。

トルーマンは投下まえに住民に警告し、避難を呼びかけることを指示した、という史料が残され、国立公文書館のウェブサイトで私はそれを読んだことがある。ポツダム会議での発言から、彼は原爆の威力を理解していたことがわかるので、恐ろしい兵器だという認識は確実にあった。人道に配慮したという彼の証言と広島市民が避難しなかったという事実とのギャップはどう説明できるのか? トルーマンがアリバイを作っただけなのか? 軍が指示を軽視して通り一遍の形式的な警告をしただけだったのか? 歴史という法廷は時が経つほど忖度しない。