[このブログは2024年5月31日にnote.comで公開された。]
先日はカナダのドキュメンタリー『キャンプX 実録・スパイ養成学校』を紹介した。
キャンプXを主題とした映像作品には『Xカンパニー 戦火のスパイたち』というテレビドラマもあった。トロントの機関がイギリスから半ば独立してフランスのレジスタンスとともにナチスと戦う、というのは一定のフランス語人口を有するカナダのナショナリズムに適した題材といえる。ただし、半ば独立して、が真実だったかは留保しておく。
「ドラマ」であれば、日本ならば「このドラマはフィクションであり……」というキャプションが入る。このテレビドラマはどうなのだろう? レンタル落ち中古DVDで確認。
あった、あった
Although Camp X was a real training facility during the Second World War, the characters and incidents portrayed and the names used herein are fictious and similarity to the name, character or history of any person, living or dead, is entirely coincidental and unintentional.
キャンプXは第二次世界大戦中の現実の訓練施設であるものの、作中の描かれたキャラクターおよび事件や使われた名前は架空のものであり、いかなる生存者または死者の名前、キャラクターまたは履歴への類似は完全に偶然であり、意図せざるものである。
つまり、現実のキャンプXとの関係は世界観だけだ。徳川光圀は実在の人物だが『水戸黄門』は架空の物語だ。徳川吉宗は実在の人物だが『暴れん坊将軍』はまったくの創作だ。与えられた設定のもとでストーリーの技巧やアクションを楽しむのだ。
『Xカンパニー』はどうか? トロントのキャンプXは『暴れん坊将軍』では江戸城のシーンだ。カーキ色の軍服を着たイギリス軍の幹部たちは、吉宗・爺・越前に当たるだろう。フィールドの特務員たちが潜入したフランスは水戸黄門一行が騒動を起こす街道の宿場町だ。
『暗号名イントレピッド』と『Xカンパニー』との類似はないわけでない。例えば、爆弾テロ、ハニートラップ、あるいは原子爆弾開発競争といったモチーフだ。
残念ながら、『Xカンパニー』は吉宗の流し目や弥七の宙返りほど私の心をつかまなかった。しかし、シリアスでバイオレントなドラマが好みの方には十分に観る価値があると思う。